2017年度TLP春季フランス研修(2018年2月)@パリ・ブリュッセル(2/3)

2017年度TLP春季フランス研修@パリ・ブリュッセル報告の第2回、3日目から5日目までの報告です。第1回はこちらをご覧ください。

研修 3日目(2018/02/16 午前)

初めまして。TLPフランス語・文科三類の山西みな美と言います。16日(金)午前のスケジュールは以下の通りでした。

・ホテル近くのFranprixで買い物
・電車でパリ政治学院(SciencesPo)最寄駅まで移動
・SciencesPo見学
・現地の学生とカフェに入って交流

この日の朝私たちはFIAPを出発し、Franprixというパリ市内でよく見かけるスーパーに入りました。そこでは寿司などの種類の豊富な冷凍食品の在庫が充実しており、共働きの多いフランス人の生活スタイルが垣間見えたようで個人的に面白かったです。

そこから我々は最寄りのGlacière駅から電車に乗り、Saint-Sulpice駅まで移動した後、徒歩でパリ政治学院(通称:シアンスポ)へ向かいました。シアンスポはとても綺麗で上品な街の続きに立地し、日本の大学のように大きな門をくぐってから大学の敷地内に入るのではなく、気づけば敷地内にいるような街と一体化した雰囲気がありヨーロッパらしさを感じました。

 

シアンスポでは図書館が構内に3つあり、1割の蔵書しか自ら直接手に取ることができず、ほとんどの書籍は窓口で申し出をしてからしか手に入れられないということ、またほとんどの蔵書が英語で書かれているといった説明がありました。建物が細かく分かれているため建物間の移動が少し大変そうだなという印象を抱きつつも、図書館での学生の熱心な勉強姿や図書館員によるサポート体制の良さ、学生の国籍の幅広さをみて、自分もここで勉強してみたいと思いました。その後大学構内で「Ramen-toi」という、日本に興味・関心をもつ学生からなるシアンスポのサークルの所属メンバー3人と会い、一緒に近くのカフェに入り談笑しました。私は隣に座っていた学生に対し「なぜフランス人にとって難しい日本語を選んだのか」と聞くと、彼が「日本の歴史や文化に興味があり、大学で日本史を勉強したり、日本の漫画を読んでいる」といってくれたため、私が今年の成人式で着た振袖の写真を見せたところ、彼は帯の結び方や成人式という日本独特の催し自体などについてとても興味を持ってくれ、嬉しかったです。その後、私がマカロン好きだということを知ると、マカロンを売っているパリの有名なお店を紹介してくれました。フランス語で会話をすることはもちろん楽しかったですが、自分たちが興味を持つ共通の話題について言語の垣根を超えて盛り上がれたことが嬉しく、言いたいことをうまく表現できなかった時はもどかしさを感じました。

 

研修 3日目(2018/02/16 午後)

ここから先は、16日午後担当の理科一類大宅由倫がお送りいたします。

お昼は、モロッコ料理店「Le Méchoui du Prince」に行きました。店名のPrinceは通りの名前Rue Monsieur le Princeから。住宅街のような雰囲気の中、世界各国の料理店が並ぶ国際色豊かな通りでした。モロッコはアフリカ大陸北西にある国でフランス語が話されています。皆モロッコの伝統料理であるタジンtagineやクスクスcouscousを食べました。食前に甘いミントティを飲みましたが、ミントの葉がたくさん入ったグラスに高いところからミントティを注ぐパフォーマンスにみんな大はしゃぎでした。

 

私はMeknesという羊肉と焼き茄子のタジンを食べました。久しぶりの羊肉でしたがレモンやオリーブとの相性が良く、美味しかったです。しかし、タジンもクスクスも量が多く食べきるのに苦戦する人も。私は自分のタジンを完食後友達の牛肉のタジンも食べて今回の旅で最もお腹いっぱいになりました。

  

昼食の後は、ルーブル美術館Musée de Louvreに行きました。午後3時過ぎと遅い入館だったため、それほど並ぶことなく中に入ることができました。夕食の時間があるので、自由に見て回れる時間は2時間のみ。ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、モナ・リザ…初めは、有名どころから回るために行き先が被って半数以上が一緒に回っていましたが、回るペースの差によりだんだん分離し最終的に私は友達2人と回りました。私にとっては10年ぶり2度目のルーブル美術館でしたが、TLPでフランス語を勉強したおかげで気になった絵の解説が読めてとても面白かったです。

   

途中でたまたま目についた絵の題名が 「Saint François-Xavier rappelant à la vie la fille d’un habitant de Kagoshima au Japon」。聖フランシスコ・ザビエルが鹿児島に住む人の娘を生き返らせている絵、とのこと。「鹿児島?!」「え、でも周りがアジア人に見えない」…とワイワイ言いながら鑑賞。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品が並ぶ展示室内では、中学校の美術の教科書に載っていた「聖バプティスト」の絵を見つけました。楽しくなって解説文を読んでみると…なんと、その絵の二つ隣の絵でかなり自己主張してくる生首も聖バプティスト。え、一方ではあんなに綺麗な聖人なのに生首になるの?!との驚きで束の間絶句。

   

ガイドブックに頼って、有名絵画を見ながら超特急で回っていましたが、フェルメールの「レースを編む女 La Dentellière」の場所がガイドブックとは異なっていてなかなか見つかりませんでした。フランス語で係員さんに聞いてみると、「Allez tout droit.〔まっすぐ行ってください〕」と言われました。あれ、方向そっちなの?と思いながらまっすぐ進むことしばし、来すぎたかと思ってまた係員さんに絵の場所を聞いてみると、やはり直進するように言われました。急いで直進し続けると、「レースを編む女」を発見。写真を撮って、その時点で集合時間5分前。間に合わない!と思いつつ早足で「Sortie〔出口〕」の看板を追っていくと、意外と看板がたくさんあり迷うことなく集合場所に到着しました。

しかも生徒の中では一番乗り。その後みんな無事集合しそのまま美術館直結の駅からメトロに乗ってホテルへ。ルーブル美術館駅のホームには、美術館にある石像のレプリカがいくつも並んでおり、電車が発車する瞬間まで私たちを楽しませてくれました。

昼ご飯が効いていたのか、この旅行中で初めて夕食前に空腹を感じていませんでしたが、この日もホテルでしっかり夕食を食べました。

研修 4日目(2018/02/17)

理科ニ類の里見紗弥子です。

研修4日目の17日は、午前中にオルセー美術館、午後にエッフェル搭とシャンゼリゼ通りを訪れました。

元々この日の午前はセーヌ川でクルージングの予定だったのですが、セーヌ川の増水のため代わりにオルセー美術館を見学することになり、朝のパリを散歩したあと美術館に向かいました。オルセー美術館は19世紀の美術作品を専門的に展示していて、ゴッホの『自画像』やミレーの『落穂拾い』、ルノアール、モネなどのおなじみの名画が所狭しと飾られています。私は秋学期に近代西洋美術の授業を選択していたため、これらの絵を間近で見られたのは個人的にも非常に嬉しかったです。

また、およそ100年前の駅舎を改修してできたオルセー美術館には、ホールにかけられた当時からの大時計など駅の面影が残り、収蔵作品だけでなく建物を楽しむこともできました。前日のルーヴル美術館と同じく、建物も所蔵作品も見どころがありすぎて見切れないのが残念で、ぜひいつかまた行きたいなと思わせてくれます。

 
オルセー美術館中央ホール  ミレーの『落穂拾い』

見学を終えて館外に出ると朝の曇り空とは一転して晴れ間が広がってきていて、午後のエッフェル搭からの眺めに期待が高まります。美術館から歩いてエッフェル搭の近くまで移動し、ビストロでお昼ご飯をいただきました。ビストロはシックでおしゃれな雰囲気で、私がいただいたラビオリとチーズの盛り合わせもすごく美味しかったです。

ランチの後はエッフェル搭ツアーへ。陽気なガイドさんがエッフェル搭近くの写真撮影スポットから搭の二階部分まで、パリの街やエッフェル搭の歴史や雑学を解説しながら案内してくれました。(因みにガイドが英語だったのと、私たちの他にアイルランドからの旅行者の方がいらっしゃったのとで、久しぶりに英語を使いました。) エッフェル搭に着く頃には天気は快晴、絶好の観光日和となり、みんな写真を撮りまくっていました(笑)。塔の二階部分からはパリの街が遥か遠くまで一望でき、絶景を楽しむことができました。

夕方エッフェル塔を後にし、またここでこれまで引率して下さっていた寺田先生とお別れしました。研修が企画される段階からお世話になり、現地でも私達を見守って下さった寺田先生には改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

この日最後の行程、シャンゼリゼ通りでのショッピングは、歩き通しの1日の終わりとは思えないほどみんな様々なお店を訪れて、お菓子や服、本などの買い物を楽しんでいました。私も本屋でハリーポッターシリーズ1巻目のフランス語版を購入しました。まだまだ難しいけれど、早く読めるようにこれからもフランス語を頑張ろうと思います!

 

盛りだくさんの1日でしたが、この辺りで次の増田さんに繋ぎます。

研修 5日目(2018/02/18)

TLPフランス・ベルギー研修5日目のブログを担当いたします、文科3類の増田桃佳です。

5日目はパリを少し離れ、ベルサイユ宮殿まで足を運びました。フランス絶対王政の象徴であるベルサイユ宮殿はルイ13世が建てた狩猟の館を起源としており、ルイ14世の約半世紀にも及ぶ改築によって、17世紀を代表するバロック建築となりました。宮殿および庭園は巨大で、とても1日では見て回れない大きさです。私たちは、この日だけで8時間近く歩きました。

宮殿には、9時45分ごろに到着しました。正門の前には馬にまたがるルイ14世の像が見え、私の胸は高鳴りました。「わあ!憧れのベルサイユに来ちゃった、どうしよう!」そんな気持ちでした。というのも、私は大のベルばら(池田理代子著『ベルサイユのばら』)ファン。『ベルサイユのばら』をきっかけにフランスに興味を持ち、フランス語を勉強し始めました。ベルサイユに来て、興奮しないはずがありません。団体用入り口の前でドキドキしながら、宮殿内部に足を踏み入れる時を待ち構えていました。

 

団体の入場に遅れが発生し、宮殿の見学は予定よりも25分ほど遅く開始しました。荷物検査を済ませ、音声ガイドを受け取り、見学スタート!(早く回らないと集合時間に間に合わないと思いつつ、じっくり見学し、研修メンバーの中では最後尾になってしまいました…)

宮殿内部に入り、まず初めにたどり着く見学ポイントは王室礼拝堂です。バロック様式の白と金に統一された荘厳な礼拝堂で、ルイ16世とマリーアントワネットの婚礼が行われた場所でもあります。

順路に従って進むと、次は王の正殿を見学できます。王の公式の儀式が行われた場で、ヘラクレスの間、豊穣の間など、ギリシャ神話の神々をテーマとした7つの間が続きます。王室選りすぐりの絵画と、当時の様子を思わせる調度品や装飾は見応えがありました。

王の正殿を抜けると、ベルサイユ条約が調印された有名な鏡の間があります。知り合いがこの鏡の間を「成金趣味で品がない」と形容していたのを思い出します。確かに、過剰な装飾は「品がない」と言えるのかもしれません。しかし、実際に訪れてみると、男性的な力強さがあり、無限の広がりを持つかのようなこの回廊に圧倒されました。美しいと思うことを強いられているようでした…。

 

鏡の間の次は王の居殿を見学しました。どちらかというと、王の居殿よりも王妃の居殿の方に興味があったのですが、あいにく王妃の居殿は閉鎖中でした…。残念…。

宮殿内をゆっくり回っていたら、お土産を買う時間も、大理石の中庭(宮殿の中庭部分)に行く時間もなく、集合時間になってしまいました。残念すぎる…。

全員が集合してのち、庭園を散策しつつ昼食へと向かいました。ベルサイユには水源がなかったため、ルイ14世は10キロも離れたセーヌ川から水を引き、庭園を造り上げたそうです。宮殿よりも、庭園に力を注いだとか。

昼食はベルサイユ市内にあるケバブ屋で食べる予定でした。しかし、道に迷い、ケバブ屋にやっと着いたと思ったら、休業中でした。仕方なく私たちは来た道を戻り、LE BASSIN DE NEPTUNE というカフェレストランで食事を摂りました。(昼食にありつくまで1時間半も歩きました!(笑)私はcoq au vin(雄鶏の赤ワイン煮込み)を注文したのですが、たくさん歩いた後の食事は格別でした。メインの後はみんなでチーズを食べ、その際アルベリック先生からフランスのチーズについてのお話を聞くことができ、興味深かったです。

 

昼食の後はプチトリアノンへ。ルイ15世の公妾ポンパドゥール婦人の発案で建てられた離宮で、ルイ16世はこれを妻のマリー・アントワネットに贈りました。格式張ったベルサイユ宮殿を嫌ったマリー・アントワネットは、お気に入りの人たちと一緒にこの離宮に籠るようになりました。離宮の内装は優美なロココ様式で、王妃の私生活が垣間見られます。花のモチーフが多く、ベルサイユ宮殿とは対照的に少女的で可憐な空間でした。

 

離宮の庭にも見所が多くあります。「愛の殿堂」はマリー・アントワネットがスウェーデンの貴公子フェルゼンと密会していたと言われている場所で、『ベルサイユのばら』にも愛し合う二人がここで逢い引きするシーンがあります。「王妃の農村」は、マリー・アントワネットが離宮の庭に建てた擬似農村です。彼女はここに農民を住まわせ、農作業をさせました。実際に行ってみると、農村は予想よりも大きく、本物らしかったです。のどかな田舎の風景を眺め、アントワネットは楽しい時間を過ごしたのでしょう。彼女の生涯に思いを巡らせ、プチトリアノンでは少し切ない気持ちになりました。

プチトリアノン見学後は急いで駅に向かいました。電車を一本逃すと、次の電車がしばらく来ないからです。意外と閑静なベルサイユの街並みを横目に早足で歩き、なんとか電車が到着する前に駅につきました。しかし、行きに買った帰りの分のチケットを無くした人がいて、結局駆け込み乗車をしてしまいました。(今回の研修では電車関連のトラブルが多発しました…)

ハプニングの多い1日でしたが、念願のベルサイユに行けてよかったです。またベルサイユに行きたいと思います!(今度は3日くらいかけて…(笑))

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以上、パリ・ブリュッセル研修報告の第2回でした。第3回の公開は3月16日を予定しています。どうぞお楽しみに!

[追記(3/16)]第3回を公開しました。こちらをご覧下さい。

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