2018年度TLP夏季フランス研修(2018年9月)@アンジェ(2/3)

少々間があいてしまいましたが、2018年度TLP夏季フランス研修報告の第2回です。4日目から7日目までの模様を学生のレポートでお伝えします(第1回はこちらをご覧ください)。

研修 4日目(2018/09/07)

こんにちは、理科二類二年の村上日奈です。研修報告9月7日分を担当いたします。

大学で授業を受けるのも3日目となり、あらゆることにかなり慣れてきました。

大学での授業は毎日9時に始まります。ホームステイ先からトラムと呼ばれる路面電車に乗って大学に通う生徒も多いのですが、私は25分ほどかけて毎朝歩いて通っています。同じアパートにホームステイするジャマイカ人の女の子といろいろなおしゃべりをしながら(大体フランス語…時々英語に逃げます笑)、公園や植物園の中を歩いて行く楽しい時間です。

この日は朝から Langue の授業を2時間、Expression orale の時間の後に、お昼休憩を挟んで、Langue をさらに2時間、最後に Civilisation の時間というスケジュールでした。休憩時間もあまり長くなく、もちろん授業は全部フランス語なので相当疲れますが、授業で得るものが本当に多いです。

中でも自分に足りないものを最も強く認識できるのは Expression orale の授業です。この授業は、最初にあるテーマが与えられてそれについて生徒同士で議論する、という形をとるのですが、そのテーマが la famille(家族)、les réseaux sociaux(SNS)など、抽象的なものばかりなのです。そのため、フランス語で何か言うのが難しいのではなく、そもそも何か言うのが難しい、という感じです。あなたにとって家族とは何か?と聞かれて、すらすらと答えられない(もちろん、程度は人によりますが)。これは教育レベルがどうというよりも、日本ではこのような話題について生徒同士なり家族なりで語り合う文化があまりないからだと思います。ホストマザーにこの話をしたところ、フランスでは家族内でいろいろなことについて話をする、もちろん意見が合わないこともあるけれど、議論をするのが好き、とのことでした。このような文化の違いに触れるのもこの研修の目的の一つなので、クラス内の沢山の生徒と話をしようと思います。

この日のメインは Excursion〔遠足〕、Le Puy du Fou です。夜に大学を出発するスケジュールだったので、その前に夜ご飯として、TLPの生徒10人ほどでケバブを食べに行きました。大学の近くにあるお店です。私は日本でケバブを食べたことがなかったので比較はできませんが、とてもおいしかったです!

さて、Le Puy du Fou について書きます。これは競馬場と池のようなところにプロジェクションマッピングで映像を映し、それに合わせて人や馬が舞台を作り出すという屋外でのパフォーマンスです。フランス語で語られるストーリーに沿って舞台が進んでいきます。ある一家のお話です。その一家では、男の子が皆に Jacques と名付けられていて、その訳を小さな男の子(le petit Jacques)が問うところから物語が始まり、彼の先祖たちの戦の歴史が語られていきます。時代を遡って戦争の様子が再現され、現代に戻ってきて終わります。

大砲の音や花火による戦争の表現は本当に凄いの一言でした。ホストマザーも以前行ったことがあるそうで褒めちぎっていましたし、周りのフランス人も圧倒されている様子でした。音楽も素晴らしく、私は現地で販売されていたCDを購入しました。

パフォーマンスが終わってバスで大学へ戻ると真夜中2時!皆疲れ果てて帰路につきました。ですが本当に充実した一日でした!

研修 5日目(2018/09/08)

皆さん、こんにちは。9月8日のブログを担当します、増田桃佳です。

今日は土曜日で、それぞれが思い思いの時間を過ごしました。午前中はホストファミリーとマルシェ(市場)で買い物をする人が多かったものの、私は昨晩のLe Puy du Fouの疲れが取れず、恥ずかしながら午前11時過ぎまで寝ていました。そのため、私の一日は昼食から始まりました。昼食はホームステイ先の中国から来たルームメイトと外食しました。家から学校へ行く途中にあるレストランでガレットとクレープを食べ、ルームメイトはエスプレッソ、私はオランジーナを飲みました。フランスのオランジーナは日本のものよりオレンジの果肉が多く、炭酸が強いと感じました。

空腹を満たした後は二人で街に繰り出しました。雑貨屋や洋服屋など様々な店を覗きつつ、まずはケーキ屋でデザートのケーキを食べました。ケーキの名前は忘れてしまいましたが、クッキー生地の上にフルーツのムースが乗っている可愛いケーキでした。お店の外のテーブルでケーキを食べていると、何人もの人から「美味しそうだね!」と声をかけられました。アンジェには気さくな人が多いようです。

ケーキを食べたら次はアンジェ城へと向かいました。13世紀に建設されたお城で、地域の歴史を感じ取ることが出来ました。アンジェの街並みを一望することも出来、偶然遭遇したTLPのメンバー数人を交え、たくさん写真をとりました。また、今週末は Les Accroche-cœurs というお祭りが行われており、ショーや屋台で街が賑わっていました。私はマジックショーやバンドの生演奏などを楽しみました。

さて、時刻は17時。まだまだお祭りが続く中、ルームメイトと私はホームステイ先へと帰りました。というのも、今晩はホストマザー・ホストファザーのお孫さんの誕生日会。私達も招待して頂いたのです。お孫さんが住んでいるのはアンジェから車で1時間程の田舎町。車に乗っている間、ホストマザーとホストファザーは車窓から見える様々なものを説明して下さいました。乳牛、リンゴ農園、親指を立て佇んでいるヒッチハイカーの男女…。東京での生活では見ることのない風景でした。

お孫さんが住む家に到着すると、パーティの参加者の多さに驚きました。なんと、総勢20名。しかもルームメイトと私以外全員が親戚で、中には遠い親戚の方もいました。ホストファザーによるとこれほどの人数で誕生日会を開く家は珍しいそうで、親戚同士とても仲が良さそうでした。あまりの人の多さに圧倒されながらも、私はまず参加者全員とビズ(挨拶のキスのようなもの)を交わし、お喋りを楽しみました。このお喋りが今日一番の難関でした。フランス人同士が早口で喋っていると、何を言っているのか全くわかりませんでした。それでいて、時々急に話を振られ、とても大変でした。これからもフランス語の勉強を続け、いつかは普通のスピードの会話が聞き取れるようになりたいものです。

このパーティで最も楽しかったのは、子供達とも交流出来たことでした。0〜6歳の子供が6人と、15歳の高校生が1人いて、みんなで一緒に遊びました。子供達の遊びは日本とあまり変わらず、ボール遊びやお人形遊び、おままごとなどでした。今日がお誕生日のお孫さんは6歳で、ルームメイトと私はウサギのぬいぐるみとお菓子をプレゼントしました。他のプレゼントはお人形のお家や絵本などで、日本とあまり変わらないと感じました。高校生の子とは、日仏の生活の違いや社会問題について話しました。語学力が足らず思うように話せませんでしたが、同世代の人と話せて嬉しかったです。

そうこうしているうちに、食事の準備が整いました。前菜、肉料理、チーズの後は、誕生日会のメインとも言えるケーキを食べました。まずは日本と同じようにお誕生日の歌を歌い、お孫さんがケーキのキャンドルの火を吹き消したのですが、お誕生日の歌はフランス語でした。日本では Happy birthday to you 〜と英語で歌うので、みんなが Joyeux anniversaire〜 と歌い出したのは意外でした。

誕生日会が終わったのは23時過ぎ。別れを惜しみつつ車に乗り込み、アンジェへと帰りました。

アンジェの街を散策したり、ホームステイならではの体験をしたり、今日は本当に充実した一日でした。(もっと早く起きていればマルシェに行けたのにという後悔はありますが…)気付けばもう夜の2時!明日に備え、早く寝ようと思います。

研修 6日目(2018/09/09)

理科三類2年の度會亜衣子です。この日はUCOの用意してくれた excursion(遠足) に行きました。今回の研修の中でも、一大イベントです。

朝7時、バスで大学から出発し、まずは Mont Saint-Michel に向かいました。

道中は車窓からの景色を楽しみました。一面に広がる小麦畑、風車、家畜の群れなど、ヨーロッパの地方ののどかな風景が見られます。そして、朝焼けがとても美しかったです。

しばらくするとMont Saint-Michel が見えてきました!

Mont Saint-Michel につくと、周囲には干潟と海が広がっていて、潮の香りが漂っています。そのような自然の中、唯一そびえ立つ建築物の姿は、夢のような美しさで、その場にいる人皆が興奮していました。

Mont Saint-Michelは、l’abbaye (修道院)が真ん中に立っていて、その裾に街が広がっている島です。早速中に入って街を通り過ぎ、修道院まで一気に登りました。急な階段が多かったです。

修道院に入ると、中は少し薄暗く、身が引き締まる思いでした。

順路に従い進んでいくと、一度外に出たと思ったら、今度は階段を登ったり下ったり、といった具合で、建物がかなり入り組んだ構造をしている印象を受けました。また、部屋によって天井の高さが違ったりしていて、建築の雰囲気がころころと変わるように感じました。

後から調べてみると、どうやらこの修道院は様々な時代の建築様式が入り混じっているそうです。長い年月をかけて幾度も人の手を加えられた、重層的な建築であることを直観していたのだなとわかりました。

この le cloître(回廊)は僧侶たちの憩いの場になっていたと言います。屋外に出るたびに、周囲の自然の景色を楽しむことができました。

海と空の境目もわからなくて、とても幻想的に感じました。

あちこちに見られたのは、修道院を建設するよう司教にお告げをもたらしたという l’archange Saint Michel(大天使ミカエル)の像です。

尖塔の先に見えるのも、黄金の大天使像です。

お土産屋さんでは、Mont Saint-Michel を題材にした絵本を買いました。平易なフランス語で書かれており読みやすく、また外国風の絵柄が魅力的に映りました。この本は帰りの飛行機で読んだのですが、Mont Saint-Michel にまつわるありとあらゆることが説明されていました。それらが現地での記憶と結びついて、この島への理解が深まったように感じます。とても素敵な読書体験でした。

お昼は修道院の中庭でピクニックをしました。持参したサンドイッチは、前日の夜にホストマザーと一緒に作ったもので、Pain de mie にたっぷりとバターを塗り、ハム、チーズ、トマトとレタスをはさみました。今まで食べたサンドイッチの中で一番美味しかったです。シンプルながら、それぞれの素材の味が存分に生きていました。特に野菜は Marché(市場)で前日の朝にホストマザーと一緒に買ったもので、すごくみずみずしかったです。

一般に、フランス料理というと非常に凝ったものを思い浮かべることと思います。でも実際にフランスに滞在してみて、毎日の食事に関しては、調理法は意外とシンプル、素材の良さを楽しむ料理が多いなと感じます。

デザートには、娘さん特製の gâteau au chocolat (ガトーショコラ)を持たせてもらい、大満足な昼食となりました。

以前は、Mont Saint-Michelについて、海に浮かんでいる姿、かの有名なイメージしか知りませんでした。しかし実際に訪れてみると、修道院も、周囲に広がる街も(今回は通り過ぎただけでしたが)、周囲の自然も魅力にあふれていて、愛すべき場所だなと思いました。

最後にみんなで記念撮影!

次に訪れたのは Saint-Malo という港町。Mont Saint-Michel からは車で une petite heure(小一時間)の距離です。バスの中では眠り込んでいました。実は Mont Saint-Michel では天気が少し曇っていたのですが、移動中に快晴となり、目を覚ますと眩いばかりの青空の下でした。

港には大きくてかっこいい船が沢山停まっています。

こちらが Saint-Malo の入り口です。Saint-Malo は町全体が les remparts(城壁)に囲まれています。私たちは城壁にのぼり、その上の遊歩道を歩いて、1時間ほどかけて街の周りを一周しました。

城壁から見える街並みです。しばらく進むと広く海に面したところまで来ます。

これまでの人生で目にしたこともない、空の青と海の青。

海水浴をしている人たちが大勢見えて、同級生たちと羨ましがっていました。

TLP生の中には町を離れてこの島に向かった人たちもいました。行きは歩いていけたそうですが、帰りは潮が満ちてしまって島に閉じ込められたそうです。結局は船に乗せてもらえて、バスの出発に間に合う時間に戻ってくることができました。本当に良かったですね…!

城壁を一周してからは町の中に入り、残り時間で食べ歩きました。Saint-Malo の名物といえば une crêpe(クレープ)。そして、des glaciers(アイスクリーム屋さん)もたくさんありました。フランスに来ると食欲は増える一方。どちらも食べてしまいました。美味しかったです。

Saint-Malo はそれまで名前も知らない町でしたが、Mont Saint-Michel に負けず劣らず好きになりました。日本では見られない、強い日差しに真っ青な海、空は圧巻で、何でも晴らしてしまうようなエネルギーを感じました。日本人にとっての海と、フランス人にとっての海は、きっと異なるイメージや意味を持つのだろうなと思います。フランスの海、あるいはヨーロッパの海の実体験を持つことができて、世界が少し広がったように感じます。

帰宅するともう夜ご飯の時間でした。ホストマザーとその日あったことなどを話しつつ、ゆっくりと夕食をとるのが日課です。また、食後には私の大好きなチーズを必ず出してくれます。

今日の遠出のことを話すと、両者とも素晴らしいところだよね、と誇らしげに言ってくれました。ホストマザーは平日働いているのですが、日曜日の今日、彼女も海に行っていたそうです。浜辺で日光浴をしながら読書して、一人で一日を過ごしたとのことでしたが、その話は私の耳に新鮮に響きました。日本において、特に私の身の回りでは、休みの日には何か平日にはできない活動をした方がいい、という意識が働くことが多く、休日も忙しくしている人が多いと感じます。このような、ゆったりとした時間の過ごし方は素敵だなと思いました。

ホストマザーは私に、日本ではいつもどのような休日の過ごし方をするのか聞きました。東京に来てからは時間ができたら美術館に行くことが多い、と話すと、ホストマザーも芸術が好きだそうで、モネやゴッホなど、好きな画家の話で盛り上がりました。また、棚からホストマザーのお気に入りの画集を出してくれました。こうして、異なるバックグラウンドを持つ人とも共通の話題で盛り上がれるのは、新鮮で嬉しいことです。

シャワーを浴びた後、寝室の机で、これもまた毎晩用意してもらっている une tasse de tisane(ハーブティー)を飲みながら、画集を眺めました。なかなか贅沢な時間でした。

翌日からはまた学校が始まります。早くもUCOに通える最後の週に入ってしまうので、ベッドに潜りこんだときに少し名残惜しく感じたのを思い出します。

長い長い、楽しい一日でした。

研修 7日目(2018/09/10)

こんにちは。2018年9月TLPフランス研修報告9月10日分を担当する、文科三類2年の趙鼎涵と申します。

今日は先週と同じく朝の9時から午後の4時45分まで授業が続きます。CIDEFのフランス語の授業では、週ごとにテーマがあり、授業で扱う内容はすべてそのテーマに関わっています。先週は Réseaux Sociaux、つまりソーシャルメディアというテーマだったのが、今週に入りテーマは Famille、家族に変わります。

午前の1時間目は Expression orale で、クラス全員は2人組に分けられ、組単位でソーシャルメディアに関する討議課題が行われました。先週の続きではあるが、与えられた課題は結構深みのあるもので、自分の意見を述べる際、それをフランス語で完全に表すことがなかなか難しく、自分の能力の不足を痛感しました。

2、3時間目は Langue の授業で、主に Gazzotti Vehlmann の Seuls というマンガの抜粋を中心にいろいろやりました。マンガ自体はある日から突然、街の大人は全員消え、残りの子供たちが外から隔てられた街で、アナーキー状態の下で生きていく物語となっており、2017年に映画にもなったそうです。抜粋は物語の冒頭部分で、各主人公それぞれの Famille の形を描くものでした。絵を見ながら、人物と場所の様子について説明するという練習が行われ、日常生活によく使われる表現や、Français familier(フランス俗語)をたくさん習いました。

そしてお昼の時間は、大学から徒歩2分のケバブの店から食事を持ち帰り、1階の Foyer(学生休憩室)でゆっくり食べました。食堂を利用すればフランス人のモニターがいていっぱい話せますが、せっかくフランスの大学に来ているので、やはり普段のフランス人大学生の生活をも試したいです。この店は先週同じクラスの韓国人留学生に教えてもらった店で、近くの学生がよく通う店だと聞いています。焼いたフランスパンに鳥の焼肉とハンバーガーパテをたっぷりはさみ、それにチーズソースとポテトとソフトドリンク一つ。7.5ユーロでおいしくいっぱい食べれます。

午後からは3時間の授業連続で、まずは1時間目に Civilization がありました。今回は人文地理に関する課で、フランスの行政企画について勉強しました。Région や Département、Départements d’Outre-Mer(DOM)と Colléctives d’Outre- Mer(COM)、フランス2015年行政改革やブルターニュ独立紛争など、昔に触れたことのない知識を細かく理解することができました。2時間目の Langue は午前の続きに加えて複合過去と半過去と使い分けをやりました。続いて3時間目の Expression orale は午前の続きでした。

授業の後は歩いて Famille d’accueil に帰りました。ホストファミリーは夫婦二人とも医者なので、帰りはいつも遅いが、今日ホストマザーは夜に合気道の練習があるらしく、ホストファザーと2人で残り物を加熱して晩ご飯を食べました。相変わらず遅くまでおしゃべりしながら食事が進み、食事の最後にチーズがたくさん出され、Sainte Maure de Tourraine チーズを味わいました。Chèvre の味わいに Brie に近い食感で大変おいしかったです。その後、ホストファザーはそのチーズの制作過程を紹介し、そこから話を展開してチーズの分類や産地などを教えてくれました。Fromage の世界の深みに感銘を受けた同時に、これからいろんなチーズを試していきたいと思いました。

以上が9月10日分TLPフランス研修報告となります。残りの時間を生かし、フランスで有意義な時間をより多く過ごしたいと思います。

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以上、4日目から7日目までの報告でした。次回第3回ももうすぐ公開します。どうぞお楽しみに!

【追記】第3回を公開しました。こちらをご覧ください。

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