2018年度TLP夏季フランス研修(2018年9月)@アンジェ(3/3)

2018年度TLP夏季フランス研修報告の最終回、第3回です。8日目から最終日までの模様を学生のレポートでお伝えします。

研修 8日目(2018/09/11)

本日の担当は教養学部2年の倉島さらです。私の名前はSaraと綴るのですが、ホストマザーがメールでも手紙でもSarahと綴り、一度訂正しても h を取ってもらえなかったので、最近自分でも Sarah と書くようになってきた今日この頃です。

フランス滞在も残すところあと僅かとなり、授業も一つの大きな評価基準であるプレゼンを週末に控える形で火曜日を迎えました。すでに前半1週間の記事をお読みになった皆さんはご存知かもしれませんが、私たちは今大学でフランス語の語学の授業、会話表現の授業、そしてフランスの地誌の授業を受けています。

語学では、クラスメートとともに、自転車についての新聞記事にもとづいたプレゼン準備をしています。グループは、カナダ出身の方やボリビア出身の方を含めた4人組で、和気藹々と準備を進めました。欧州で自転車が流行していることに関してエッセーや歴史的背景がまとめられている記事を真剣に読みつつも、お互いの国内での状況を紹介し合うなど、フランス語での雑談も盛り上がってしまいました。また、会話の授業では、不平等に関するディスカッションを行いました。もし男女のジェンダーが入れ替わったら、という設定で即興の寸劇を考え、3、4人のグループで発表を行いました。日本でも近年ジェンダーギャップが問題視されていますが、他の国でもやはり男女間の待遇の違いは大きな問題として取り上げられ、改善が求められていることを肌で感じることができました。

平日で、放課後とくに予定もない日でしたので、私はルームメイトと一緒にホストファミリーの家へと帰りました。私は大学からバスで15分ほどの地区に住んでいるのですが、ルームメイトと英語やフランス語で喋りながらバスに乗るのが大好きになりました。彼女はとても親切で、私が英語を苦手にしていることを知るとフランス語で話しかけてくれるようになりました。アンジェの古風な町並みを眺めながらバスに揺られていると、本当にフランスで暮らしたくなってしまいます。

帰宅すると、ホストマザーは本を読んでいるところでした。彼女は一人暮らしで、もう20年ほど大学への語学留学生を受け入れてきた大ベテランだそうです。料理が得意で愛嬌たっぷりのホストマザーのもと、ここ一週間本当に楽しく暮らしています。

夕食の食卓。ふだんから、前菜→メインディッシュ→デザートの順でテーブルに並べていました。

楽しい生活ではあるのですが、トラブルが全くないわけではありません。ある日、私が帰宅するとホストマザーとルームメイトが何やら険悪な雰囲気。何事かとおもい事情を聞いてみると、なんと「ルームメイトの部屋で本から虫が湧いた」とのこと。ほんとうなら、隣の部屋に住んでいる私にとっても大事件です。ルームメイトは、そんなはずはないと言って譲りません。間で困り果ててしまった私は、虫がついていたという本を開いてみました。そこには飴の欠片がちらほら…。どうやら、夜にお菓子を食べながら読んでいて寝落ちしてしまったところに、偶然部屋に侵入していたアリがたかっていたようです。事情が判明し、本とお菓子さえ片せば虫が出続けることもなさそうとわかると3人で和解することができました。ささいな事件ですが、フランス語でけんかになったらどうしよう!とヒヤリとした一幕でした。

自室をぱしゃり。窓の外は細い通りで、近所に住んでいるらしい人や猫が時折通って行きます。

さて、もうすぐ私たちの滞在も終盤へさしかかっています。残りわずかなアンジェでの学生生活・ホームステイを精一杯満喫して、帰国しようと思います。

研修 9日目(2018/09/12)

こんにちは。9月12日のブログを担当します、文科三類2年の山西みな美です。

今日の分は、主に大学での1日の流れや、それぞれの授業の特徴について話していきたいと思います。

【朝】

私のホームステイ先の家から大学までは歩いて25分ほどの距離があり、バスを使うこともできたのですが、天気がとても良く毎朝歩くのがとても気持ちよかったので普段は歩いて通っていました。街の中心に遊びに行った後は、距離があるのでバス(irigoという会社のバス)を使って帰っていました。

ホームステイ先の部屋の窓からの景色。滞在期間中ほとんど快晴でした。

【1時間目:LANGUE】

今日はいきなり2時間のLANGUEの授業から開始。

前半は、文法(過去形の性数一致問題)を各自で解き、班ごとに答え合わせをした後に先生からの解説を聞くという形で進みましたが、文法問題はひねったものが多く結構難しかった覚えがあります。

後半は、とある映画の予告( « Qu’est-ce qu’on a fait au bon dieu? »という、少しコミカルな映画です)を観たのち、映画のテーマでもある「ステレオタイプ」について先生からレクチャーがありました。人種や宗教の違いから生じるステレオタイプについての話は、様々な人種・宗教の人が集まるフランスならではのテーマだなと感じました。

また、最後にはLe Cinéma, Le Film, Le Parole du chansonのうちから一つ題材を各グループで選び、それについて話し合うというアクティビティがありましたが、あまり時間はなかったので私の班は最初の段落についてだけ話し合って終わりました。

【2時間目:CIVILISATION】

続いてはCIVILISATIONの授業。

この授業はフランスの地理的環境から始まり、フランスについて全般的に学べる授業ですが、今回はフランスの行政機関の仕組みについて学びました。

【昼】

お昼は La cantine(食堂)で食事。

フランスらしく、Entrée→Plat→Dessert という順番通りに出てきます。座る場所については、Moniteur(Expression Ecrite の授業を担当してくれている学生)が必ず分散してテーブルに座るよう決まっていますが、それ以外は自由でした。

大学の建物入り口

【3時間目:LANGUE】

昼食後は再びLANGUEの授業。

明日各グループが選んだ記事についてのプレゼンがある関係で、今日はその準備のために発表グループに分かれて座りました。私のグループは « Pourquoi sommes-nous fatigués? »という大きい見出しの記事を選び(Japon, Espagne, Cambodge, L’horaire d’étéについての4つの記事を含む)、そのうち私は「日本人の睡眠不足」についての記事を担当しました。

「一回通しでプレゼンをやってみよう」という提案が上がったため、その場でグループ内だけでプレゼンし合ったのですが、私の班はみな流暢なフランス語を話せる人たちばかりだったためプレゼンの運び方や話す内容について学べることが多く、とても刺激を受けました。

【4時間目:EXPRESSION ORALE】

最後はEXPRESSION ORALEの授業。

普段はグループA,Bに分かれていますが、 今日はグループに分かれずに「男女の役割が逆転した社会」というテーマについて、みんなでフランス語で歌を作るというアクティビティをしました(セメスター末に、他のクラスの人たちの前で歌うとのことです)。

歌の題材は、投票の結果、かの有名な『シャンゼリーゼ』に決定。私の班はサビの部分の歌詞づくりを担当したためまだ短い方でしたが、ほかの班の担当部分は長く大変だったのに加え、綺麗なライムを作るのにも苦戦していたように思えます。全ての歌詞が完成したのち、最後に動画を取りながらみんなで歌ってみましたが、2時間で仕上げた割には意外ときちんと作れていました。

『シャンゼリーゼ』の歌をもとにみんなで作った歌詞(まだ未完成の状態)。

【CIDEFでの授業について】

ここCIDEFでの授業は大きく3つに分かれています。ちなみに私のクラスのレベルはB2相当のクラス6だったので、フランス語がペラペラな人が多くついていくのが大変でした。

  • LANGUE

今回の研修の中でも時間的にも内容的にも最も重い授業だったかと思います。基本的には、与えられた文献や映像をもとに班でディスカッションをしていましたが、たまに Compréhension Écrite, Expression Écrite なども行い、先生からの添削や指導を受けました。先ほどもお話ししたように、読んだ記事についてのプレゼンをすることもあったので、授業内容としては「資料を読んでそれについての自分の考えを述べる」ことがメインだったのかと思います。

それに加え、文法問題をその場で解いて直後に先生からの解説を受けることもありました。文法の知識が少し抜けていた私にとってはとても有難かったです。

  • EXPRESSION ORALE

La famille, L’inégalité などのテーマについての質問が配られ、それについて一対一やグループで自分の意見を述べ合うことが多かったです。

ほかの授業との違いは、とにかく話すことがメインであったことと、CIDEF所属の学生(教職志望)が指導する形の授業であったことかと思います。

  • CIVILISATION

先ほども少し触れましたが、フランス語を学ぶ上で重要となってくる基礎知識(フランスの文化・歴史・地理環境など)について学ぶ授業です。

この授業は基本受け身姿勢で先生のレクチャーを聞く形でしたが、質問をする人も多く世界史や地理で習った知識が出てきたりして面白かったです。

研修 10日目(2018/09/13)

こんにちは。理科一類二年の大宅由倫です。

今日もNさん(ホームステイ先の女性)と二人で、バターやジャムを塗ったバゲットと紅茶とお水という朝食を食べました。食事中に昨日の大学での話と今日の予定の確認をしました。私が course(授業)の ou がうまく発音できないため、毎日同じ発音が出て来るたびにNさんが私の発音特訓をしてくださっていますが、今日は初めて2回の言い直しで ok が出ました。Nさんに上達していると褒められてとても嬉しかったです。

大学では1〜5限目まで授業を受けました。1限目の語学の授業では、 « 1 toit pour 2 générations »という実家から通えない大学生が年配の方の家に居候するのを仲介する団体について扱いました。TLPの授業で扱ったことのある話題だったため、授業内容の理解が容易でした。2、3時間目は特別プロジェクトとして、クラスのみんなで替え歌作りをしました。多数決で曲は Luane の Avenir、題材は、9月に授業で扱ったものという条件の元、collocation(同居)に決まりました。前日の授業で、「同居ならではの問題による同居人同士の言い争い」をテーマに寸劇をしたことから、同居での不満を漏らす歌を作ることに決め、4つの班に分かれて歌詞を作成しました。各行の最後で韻を踏むのが思いの外難しく、また母音の数を数えるのも難しく班の皆で頭を悩ませました。最終的には面白い曲が出来、クラスの皆で歌いました。

午後の授業も受けた後、アンジェ城に行きました。アンジェ城には一度土曜日に行っていましたが、周りきれなかった部分があり1人での再訪でした。前回周れなかったのはかつて町から来る人が使っていた門を含む建物で、階段を使って中を一周できるようになっていました。平日ということで中にはほぼ誰も居らず暗い上、一時期牢屋としても使われていたと看板に書かれていたので、少々びくつきながら一周しました。壁に矢や銃で敵を迎え撃つための穴が多く空いていましたが、穴の大きさや形からそれぞれ何用の穴だったのかを考えるのが面白かったです。また、落とす格子が外されていた第二落とし格子用の穴を下から覗いたり、溝の様子を詳しく見て構造に思考を巡らせるなどでき、とても楽しかったです。その後、もう一度内部を一周して第二落としゲート用の穴を上から見た後、お土産コーナーでアンジェ城が描かれた0ユーロ札を記念に購入しました。

アンジェ城を出た後、中心街にあるスーパーマーケットの Monoprix で私がずっと探していた Carambar の徳用パックがあるのを確認してから、帰路につきました。18時ごろに家に着き、宿題をしてNさんと早めの夕飯を食べました。今夜はモニターさん主催の親睦会に行くので時間がなく、通常より少なめでした。集合時間は20時30分でしたが、まだ日が暮れておらず明るかったので1人で大学まで歩きました。私が到着した時には正門前のベンチに3人のモニターさんと2人の学生がいました。10分以上待っても他の学生が来なかったため、みんなで Héron Carré まで歩いて行きました。暗くなってからの一人歩きは推奨されていなかったため、初めて見たライトアップされたアンジェ城は、昼間よりもスレートの黒と石灰石の白とのコントラストがはっきりとして美しかったです。

Héron Carré は guinguette(食事もでき飲み物だけ飲んでもいいバーとレストランの中間のようなお店)だと聞いていましたが、形式がとてもフランクで屋台風の建物が1つとその周りにソファ、ベンチやパイプ椅子と机が配置されていました。屋外ながら皆思い思いに寛いでいて、壁も天井もない大きなリビングのようでした。私がモニターのお姉さんにお勧めされて飲んだSirop de grenadine(ざくろのシロップの水割り)は甘くてとても美味しかったです。最終的にモニターさんと生徒を合わせて12人になった私たちは、モニターさんが持って来てくれたカードを使ってカードゲームをしたり、日本の指スマに似たゲームをしたりしました。話したことのない生徒がほとんどでしたが、一緒にゲームをすることで打ち解けてとても楽しい soirée でした。私は翌日授業内で3つテストがあるため、お開きになるより前にNさんに迎えに来てもらって一緒に帰りました。帰りながら今日あったことについて色々な話をしました。

Nさん曰く、Héron Carré は一度失業してしまった人たちを雇うことで再度就職する足がかりとなって手助けをしているお店でもあるそうです。お城も初めての guinguette も堪能できて、とても充実した一日でした。

研修 11日目(2018/09/14)

こんにちは!理科一類2年の堀井雄太です。

残すところあと2日、CIDEFの授業日としては最終日になります。

授業自体は、僕たちにとって最終日だからといって特別変わったことはなく、会話や文法を学びました。違うのは、成績が返ってきてしまったことくらい(笑)。僕はオーラルについては最高の評価を受けましたが、読解・筆記に関しては先生曰く「君にこのテストは難しすぎたかな?」。難しすぎたどころではないというのが本音でしたが、ほかのメンバーはなかなかよろしい点数を取っていたみたいで、共感は得られそうにありません。

さて、どの授業も中身はいつも通りでしたが、先生たちは最後にはお別れを言ってくれました。一緒に勉強できてよかった、また来てね、と。その後は、ひたすらにクラスメートと別れを惜しみました。短い間でしたが、その分濃密な関係を築けたように思います。全員フランス語力の強化を目指していて、誰も母国語としてフランス語を学んではいない。珍しい巡り会わせでした。この中で再会できる友達は多くはないと思いますが、何かの縁で話す機会があったら、使い古した教科書の最初のページのように挨拶するでしょう。

”Bonjour! Comment allez-vous?”

大学の入り口。曰く『大臣の就任式』

放課後は、お土産を買う最後のチャンスということで、僕たちは三々五々街へと繰り出していきました。僕はこの時アンジェ名物の青チョコレートを買いました。見た目は水色ですが味はホワイトチョコに近く、中に固いキャラメルが入っているものです。味はとても甘く、1粒で十分満足感が得られるチョコでした。合わせて、オレンジ味のマカロンも買いました。これはCIDEFに他の大学から来ていた日本人の子にお勧めされたもので、試食を齧るやいなや購入を決断するほどに美味でした。アンジェはこの他にも安くておいしいお菓子やパンが多く、食べることが好きな学生にはたまらない街だと思います。

夜はホストファミリーのもとへ帰り、最後のひと時を過ごしました。初めは早すぎてついていけなかったホストマザーのお話もかなり聞き取れるようになっていて、こちらからも日本や日本語に関する面白い豆知識を提供できました。アメリカ人のルームメイトともようやく話が弾むようになってきたところだったので、早すぎる別れがとても惜しかったです。

この日の夜は、最終日の朝にもう一押し買い物ができるかもしれないと思い、早めに床につきました。

研修 12日目(2018/09/15-16)

再び研修ブログを担当させていただきます岡俊輔です。

いよいよ最終日となりました。ようやく街にもクラスにも慣れてきたところでの帰国なので、もっと長くいたい!と思ってしまいます。大学の授業のカリキュラムも9月の終わりまで組まれているので最後まで授業を受けれないのも少し心残りがあります。

土曜日の午前中は自由であったので、ホストファミリーと一緒に過ごすことにしました。今までホストマザーと二人でしたが、息子さんがベルギーから帰ってきて3人になり、また雰囲気が変わりました。フランス人同士の会話はこんなに早いのか…と思うほどのスピードで話していて、ホストマザーと息子さんとの会話は正直聞き取れた数語を基に内容をとらえていました(笑)。

庭のブドウがそろそろ収穫できると言っていたので、最後のお手伝いとしてブドウの収穫をしました。ブドウの房を身が落ちないように丁寧に一つ一つはさみで切り取っていくのですが、時折きれいな実があると「食べな!」と言われ二人ともつまみ食いをしながら作業を進めました。春の嵐で木が倒れてしまったこともあり、去年と比べたら食べられる実が少ないと言っていましたが、ボウル2つを満杯にする程度(3㎏くらい?)のブドウを収穫しました。このブドウはそのまま食べたりタルトに入れたりするそうです。

お昼前に集合場所の駅へと向かい、他のメンバーも集まったところで写真を撮りました。ホストマザーは列車の出発時間まで一緒に待ってくれ、自分たちがホームへ移動するときに

「また会うことを期待して、A bientôt !」と言ってくれました。

TGV に乗り、CDG 空港まで移動しました。個人的に行きの TGV は夕方の便だったことや車内が静かだったこと、この先どのようなことがあるのか知らなかったために周りも少し雰囲気が暗めだった印象があったのですが、帰りの TGV は逆に少しにぎやかでものすごく明るく感じました。お昼を食べて話している間にあっという間に空港に着いてしまいました。

空港ではかなりの自由時間がありそれぞれみんな最後のショッピングをしていました。(ユーロをなんとかして使い切ろうとしている人も…)また空港の制限区域へ入ってからも時間がかなりあったので全員で空港内のお店で出発前の夜ご飯を食べました。空港内ということで少し値段は高めでしたが、オーガニックのお店で食べ物・飲み物ともに美味しかったです。

そして飛行機に搭乗して日本への11時間のフライトが始まりました。行きとは違いほとんどの人がバラバラに座っていたのでそれぞれみんな何をしていたのか知らないのですが、きっと自分と同じように映画見て寝た人が多いでしょう。

この研修を経てフランス語をしっかりと学べたことはもちろん、海外の学生と一緒に学んだこと、ホストファミリーと共に時間を過ごし、フランスの雰囲気・文化について体験できたことは自分にとってとても貴重な経験になったと考えています。そしてもっとフランスを知りたい!と思うようになりました。このブログ文を打つ傍ら、次のフランスへの旅について調べています。自力でフランスを探検できるようになるためにも、フランス語の勉強は後期課程に入ってからも続けていくつもりです。

この研修を企画・引率・サポートして下さった先生方、CGCSの方々ありがとうございました。

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以上、8日目から最終日までの報告でした。

このあと去る2月に行われた春季研修の報告もお届けします。どうぞご期待ください!

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