2022年度TLPフランス語春季研修(リヨン・パリ)報告(下)

研修7日目(2023/2/12)

Bonjour ! 国際研修6日目、2月12日のブログを担当する臧喜来(よしき)です!

昨日のブログでありがたく予告してもらった通り、研修が中盤に近づいてきたこの日に、私たちが訪れたのはパリの近郊にある Château de Versailles (ヴェルサイユ宮殿)です。昔の TLP 生の先輩たちのブログから分かるように、この場所は過去の国際研修でも毎年訪問されています。場所は同じとはいえ、その経験を記述する仕方や視点は人によって異なっていてかなり興味深く拝読しました。ただ、先人たちのブログが皆面白く書かれているので、私にも重荷がかかっている気がします。「青は藍より出でて藍より青し」となるかどうかわかりませんが、自分なりの感想や考え、そして自分の視点から見たことをお伝えできればと願っています。また、私は appareil de photo (カメラ)を持って今回の国際研修に行きましたので、隙あれば写真を撮るようにしていました。特にブログを担当するこの日には気合いを入れて150枚近くもの写真を残していて、その一部をブログに盛り込むことによって、今回の訪問の様子をより写実的に「写し」、体験の再現の一助となれたらと思います。それでは、いざヴェルサイユ宮殿へ c’est parti !

まずこの日は、とにかく朝が早かった!のです。というのは、Derible 先生は accidents はつきものだとおっしゃり、8時と早めに集合を決めたからです。FIAPを発ち、高架線を走る métro (空中鉄とでも訳そうかな)に「登り」ました(フランス語では「登る」という意味の動詞 monter を電⾞やバスにも使うことに倣って)。前夜に訪れたばかりの鉄塔の最寄り駅で降りて、念願の再会かと思いきや、実は当の駅は SNCF の RER(パリ市内と郊外を結ぶ鉄道線)とも連結しているのです。そこで前々日の TGV を彷彿させるような列車に一同が乗り、お待ちかねのヴェルサイユ行進です。乗車はおよそ45分で長いといえば長いのです。他の何人かとフランス語の慣用句を出し合ってその意味を当てる遊びをしていたら、あっという間に到着…と言いたいところなのですが、ここでまさか、噂をすればと思わせるようにトラブルが発生!車内改札係の人たちが切符を確認しに来たら、私たち全員が使っている切符は実はこの RER には乗れないもので、精算が必要だということが判明してしまいました。どうやら先生は、切符を買い替えなくても乗り換えられると勘違いしていたようで、そこで全員分の切符の差額を、自腹を切って払ってくれました。実際、過去の国際研修では RER が運転中止となりバスで行かざるを得なかったこともあるらしく、かくして accident は確実には予想されないものの、あたかも半ば意図されたかのように訪れるのか…とこっそりとほくそ笑んで思いました。

無事駅を出て、今はルーヴル美術館になっているところに昔の王が住んでいたという先生の説明を聞きながら歩いていたら、ヴェルサイユ宮殿がそこに鎮座していました。その入り口も兼ねる広場にルイ14世の彫像は眼前にこの↓ように聳え、遥々東洋から謁見しに来た私どもを馬上の姿で歓迎してくれていました-

太陽王のお慈しみを賜ってか、この日の朝は曇天のおかげで宮殿に少し閑古鳥が鳴いていたとでも言いましょうか、案外人が少なく列に並ばずに済みました。先生によると、昔は観光客たちが溢れるほどこの場所でひしめき合いながら宮殿に入るのを待っていた毎日だったらしい…

手荷物検査を通り、皆音声ガイドとガイドマップを入手しました。音声ガイドにはフランス語と英語は言うまでもなく、中国語、日本語、韓国語、スペイン語なども肩を並べていました。世界各地からどれほどの観光客を惹きつけているかお分かりいただけるでしょう。中国語、英語、フランス語の間で少し迷った末、他の皆さんと解説などの内容を共有するためと考えて日本語のほうを買うことに…甘えてしまいましたね、要反省。体積こそ小さいが情報源としては膨大な音声ガイドを手に早速中に入ったら、王太子のアパルトマンから観光のルートが始まりました。

王太子の寝室

 

ルイ15世の王妃マリー・レクザンスカの肖像画

 

王室礼拝堂

 

王のサロン

これらはどれも華麗な内装と精緻に造られた美術品や工芸品で装飾されていて、細部を忘れてもなおその煌びやかさに負けないほどの歴史の重厚感が心に残るものでした。また私たちが訪れた時には以上の常設展の内容に加え、ルイ15世に関する特別展も行われていました。常設展ではないためか音声ガイドも英語とフランス語に限られていましたが、イギリスアクセントが聞いていて心地よくて英語のモチベも上がってきました。憧れが海峡を超えていっちゃいましたね。

ルイ15世の教育を担当していたアンドレ=エルキュール・ド・フルーリー枢機卿の肖像画

 

若き王は科学に傾倒し、天文学、植物学、地学や物理学を好んで学んでいたそうです

 

ルイ15世が注文した狩猟の絵の2枚。左は La chasse du tigre(虎狩り)、右は La chasse chinoise(中国の狩猟)

これらの展示品を見ながら説明を聞きながら追想に浸っていました。異なる時代、異なる国、さらには異なる階級の隔たりを超え、これらの物に附着した歴史を足がかりに遡る脳内作業を通じて、私たちはどれだけ彼の生活に肉迫できるのでしょうか。ひょっとしたらそのほんの一部を断片的に再現できるかもしれないし、どれほど思い描いても贋作しか造れないかもしれません。さりとてこの過程は無駄に終わるわけではないはずだと思いました。想像力を羽ばたかせて追体験を求めること自体によって、私たちは歴史を一人称の視点から回顧することができるのではないでしょうか。そのひと覗きは歴史の真実を教えてくれないとしても、自分なりの解釈を試みる過程は十分に楽しむに値するものです。

さて、堅苦しい余談はここまでにして、次は特筆すべき名だたる鏡の間です。ここでは特に人々が集まって入り口付近で佇んでおり、皆スマホを高く上げて写真を撮っていました。

日本人観光客と思われる集団を連れているガイドさんによる日本語の解説も耳にします。ついしばらく足を止めて盗み聞きしていたら(真似はしないでくださいね…)、そのガイドさん自身は、この鏡の間では中程まで進んでから写真を撮るのが個人的におすすめのようです。このヒントを小耳に挟んで早速実践してみたら、次のような写真が撮れました。

確かにこの広々とした空間を表現できた一枚だと思います。ガイドさんに感謝!

357枚もの鏡に照らされたこの空間では、かつての王や大臣たちが歩き回ったり、各国の元首たちが会合をしてヴェルサイユ条約を調印したりしたのを考えたら再び想いに耽りました。今までは認識の領域にとどまり、宙に浮かんでいた朧げな知識は、目の前に立ち現れた実物と重なり合い現前の次元へと具象化し、鮮明に着地する物音がしました。これらの鏡には歴史に名を刻んだ人々の顔も映っている瞬間があったけれど、今や私の顔が映っている。これでも歴史の中に踏み入れたとも言える気がしてきたが、鏡の向こう側まで行って時間の流れを倘佯し、それらの瞬間をこの目で見届けられたら、と。

こんなしょうもないことを考えていたら、あらもう集合の時間。残りの展示を悠々と堪能する暇はもはやない。いずれまたここを訪れると心の中で決意し、名残惜しさを忍びながら歩調を速めるしかありませんでした。句点をつけるような気持ちで写真を何枚か投下するとしましょう。

以上の4枚は戴冠の間にて

長い通路を駆け抜け広場に辿りついたら、すでに先生と何人かの学生たちが集まっていました。他にも出てきていない人がいると知って少し安心しました。全員が集合してから一旦宮殿から離れ、Versailles の市街地にあるケバブ屋に向かい、午後の観覧に備えてエネルギーを摂取!伝統とも言うべきか、今までの春季研修でヴェルサイユを訪れるたびに、皆がここで食べていたようです。(なぜかここだけ写真を撮るのを忘れてしまいました。お許しを…)

午後は大トリアノン・小トリアノン宮殿を目指して広大な庭園の中を通り抜けて行きました。中でも「王妃の村里(Le hameau de la reine)」という人工的・意図的に造られた村落の風景が印象的でした。文字による説明は控えめにして、写真を多めに載せることで宮殿の内部の雰囲気を伝えようと思います。

La chambre de l’impératrice (皇后の寝室)

 

ナポレオンの書斎
ルイ・フィリップ一世の居間。右にあるのは中国風の机と椅子
Le salon de Musique (音楽のサロン)という名前なのに真ん中にあるのはビリヤードのテーブル
コテルの回廊 La galerie des Cotelle。回廊の一番奥のSalon des Jardinsの中にある、中国と日本から集められてきた花瓶(右)

大トリアノン宮殿を見終わり、次に私たちが向かったのは小トリアノン宮殿にある庭園です。ただ一口で「庭園」と言っても実は種類は多様で、イギリス・中国式の庭園(Le jardin anglo-chinois)のものとフランス式のものがそれぞれありました。前者にはマリー・アントワネットの避難所らしき洞窟を確認でき、ヴェルサイユ行進の際にここ↓で彼女はヴェルサイユ宮殿に群衆が攻めてきたと告げられたらしいです。

Jardin anglo-chinois の chinois の部分?

ここでこの宮殿の来歴について少し触れたいと思います。これはルイ16世からマリー・アントワネットへの贈り物で、それを贈る際の言葉として次の一言が知られています——

« Vous aimez les fleurs, j’ai un bouquet à vous offrir : c’est le Petit Trianon »
「お花がお好きですから、私が花束を贈ります。それはこの小トリアノン宮殿です。」

なんとロマンチックな言葉でしょう。愛情を込めて造られた宮殿だけあって、中は見どころ満載です。例えば次のような磁器の食器や客間がその精緻さをものがたっています。

また、外へ出たら「王妃の村里」が広がっていました。ここはかの有名なルソーの「自然へ帰れ」という理念の下、王妃や皇后が宮殿の中でも田舎の風情を体験できるよう人工的に設計・建造された擬似集落のようなものです。

鳩舎↑。壁に開いている穴は鳩が出入りするところ

意図的に造られたとはいえ、本物のように感じさせるために、ここには村人が実際住んでいたそうです。そして今でも野菜などが栽培されていて、ヤギや牛などの家畜も悠然としていました。

王妃の村里を満喫し、そろそろ帰途につくところですが、ここから駅まではなんと徒歩50分というお知らせにみんなが絶望しました。残念ながらもう一息です。ですが少し歩き出したらこのような閑静な田園風景が見送ってくれていました-

そして「愛の殿堂」とそこから眺めた小トリアノン宮殿も—

一日中曇っていた空もこの頃になってようやく晴れてきて、太陽王のご厚意を承って美しい光景をこの目で見届けることができました。感激の念を心に観光を終え、一行は今にも棒になりそうな両足を引きずりながら駅へとむかいました。その途中に、また思いがけない微笑ましいエピソードがありました。

並木通りが夕日に照らされた茜空をV字谷のように切りとってくれて旅情をそそられた帰り道

何⼈かで話しながら歩いていたら、突然側から「Are you tourists ?」と英語で話かけられました。英語だとはいえフランス語の訛りはあったので、この機会は逃してはいけないと思い私は奮ってフランス語で答えたら(Ouiと答えるくらいでしたが)、そこからフランス語での会話が展開されました。Vous venez d’où ? どこから来ましたか?と訊かれ、日本と答えたら、J’aime bien votre goût !と大声で、趣味の良さやセンスを褒めてもらいました。まだ返事をためらっているうちに、追い討ちをかけるように日本の文化や芸術などまで列挙され、日本への好意がひしひしと伝わってきました。さらにはどの都市から来ているかも訊ねられ、東京大学の研修で来ていると大学名まで開示してしまいました。反応を⾒たところ、幸いなことに東京大学の名はフランスのヴェルサイユにまで轟いているようで一安心。相手が感嘆しているうちに私は隙を狙って反撃しようと思い、D’où est-ce que vous venez ?(どちらからいらっしゃいましたか?)と逆質問をかましたら、「Versailles ! J’habite ici !(ヴェルサイユ!ここに住んでいますよ!)」というまさかの答えが——これはこれは、生粋の現地人に出会ってしまいました。本人は毎日宮殿の庭園内で散歩をしているようです。王様を味わえそうで憧れちゃいますね!私たちが体験する非日常を、どんな気持ちで日常として生きているのだろうかと気になったところでしたが、その方に急いで Au revoir と別れを告げられ、去っていく背中をただ眺めるしかなかったのです。街中ですれ違う見知らぬ人との間でも心温まる会話が発生しやすい空気と距離感はやはり日本とは少し違うなと実感しました。

どれほど歩いたかは覚えていませんが、フランス語の鼻母音の発音練習をしていたら、朝来た時に迎えてくれた太陽王の彫像が今やシルエットの姿と化そうとしているのが目に映りました。

駅に近づき、日がくれていたこの頃、皆はきっと穏やかな気持ちで心が和んでおり、疲れを感じていながらもこの日に王宮の豪華絢爛、あるいはのどかで安らかな庭園の風景を満喫した記憶で溢れていたのでしょう。私もここまで書いたらようやく、この日の思い出を十分に咀嚼し消化できたような気持ちになりました。拙い文章ですが、写真の力を拝借しながら、お読みになった皆様にもヴェルサイユ宮殿のことと、幸いにもそこに実際に訪れることができた一人の小さな旅人の感想を少しでもお分かりいただけたらと願っています。ここまで読んでいただいてお疲れ様でした。翌日はボリューム満点のルーヴル美術館です。どうぞお楽しみに!Au revoir !。

 

研修8日目(2023/2/13)

8日目の執筆を担当する、文科二類の市橋結唯です。

2月13日、私たちは朝一番にルーヴル美術館を訪れました。私は18世紀から19世紀の西洋絵画が大好きなので、この訪問はこの研修で最も楽しみにしていたことの一つでした。

ルーヴル美術館は9時開館ということで9時前に到着したのですが、その時点でかなり長い列ができていました。

そして中に入ることができたのは10時。1時間も滞在時間が短くなってしまった、、ということで少しテンションが下がりましたが、中に入るとそんなことも忘れるくらいの興奮の連続でした。
まずはモナリザなどが展示されている、ドゥノン翼へと向かいます。こちらが一番人が多いとあるウェブサイトに書いていましたが、それもそのはず、有名な絵画作品があちこちに展示されていて圧巻です。絵画作品だけでなく天井や壁の装飾も見事で、日本のルーヴル美術館展では味わえない感動がありました。

私がこの館で特に好きな絵はダヴィッドの作品《ナポレオンの戴冠式》です。

前日にヴェルサイユ宮殿に見たものがいわゆる《ナポレオンの戴冠式》だと思っていたのですが、調べるとどうやらそちらは作品公開直後にダヴィッドがアメリカの事業家に依頼されて描いた2作目だそうです。あんなに大きな絵をほとんど同じように2枚描くなんて気が遠くなりそうですね。

次にモナリザを見にいきました。この日のルーヴル美術館は比較的空いていたみたいなのですが、モナリザの前は行列ができていました。滞在時間が限られている中並ぶのは気が進まなかったので、遠くから写真だけ撮っておきました。

ドゥノン翼の中でお土産を買ったあと、12時半に一度集合して各自昼食を取りました。私たちは美術館内の Goguette というお店に入りました。ハンバーガーとポテトしか頼んでいないわりにかなり高かった記憶があります。ルーヴル美術館価格ですね。

午後はまずリシュリュー翼に入りました。この館の1階にはハンムラビ法典が展示されています。世界史の資料集の写真で見た目を知ったつもりでいたのですが、私の使っていた資料集ではハンムラビ法典の上部だけが切り取られていたみたいで、実物はイメージよりも随分背が高くて驚きました。来年以降研修で訪れる方は探してみてください。

その次に向かったのはナポレオン3世の居室です。大きなシャンデリアや豪華な装飾品をふんだんに使用したミニヴェルサイユ宮殿のような場所でした。

ナポレオン1世の玉座やナポレオン3世、ウジェニーの肖像画も見れて大満足です。

集合時間の30分ほど前に、シュリー翼に入りました。ここにはミロのヴィーナスやラ・トゥール作《ダイヤのエースを持ついかさま師》が展示されていると聞いていたのですが、まさかのシュリー翼の2階は現在工事のため毎週月曜日に閉まっているそうで、ミロのヴィーナス以外お目当てのものを見ることができませんでした。。

悲しみに浸りたいところですが集合時間が迫っているためそうも行きません。私は一緒にいた2人と大急ぎで集合場所のピラミッドへと向かいます。しかしここでもハプニング発生。出るところを間違えてしまい、ピラミッドの方ではなく「カルーゼル・デュ・ルーブル」というショッピングモールの方についてしまいました。戻ろうにも美術館入館のための列ができており戻れません。そこでドリブル先生には遅れる連絡を入れ、ショッピングモールの中を3人で右往左往し、地下鉄の駅の方まで遠回りしたのちにようやくたどり着くことができました。今後研修でルーヴル美術館へ行かれる方は、出口が複数あることに注意してくださいね。

4時半頃に私たちは ENS (Ecole Normale Supérieure (高等師範学校))を訪れました。ここはかの有名なミシェル・フーコーやロマン・ロランを輩出した伝統ある学校だそうです。私は後日 ENS での発表を控えていたのでかなり緊張して構内に入りましたが、Léa Saint-Raymond 先生が温かく迎え入れてくださってとても安心しました。ENS では生徒の方々に混じって Saint-Raymond 先生によるご講義を受けました。Omeka classic や Omeka Sといった、各自がオンラインでコンテンツを管理したり展示したりするシステムの使い方についてのお話で、難しいところも多くあったものの初めて聞く内容で興味深かったです。

その後はいつも通りFIAPに戻り、夕食を取りました。前日と同じくあちこちを歩きまわった日だったのでみんなくたくたに疲れていましたが、長い間ルーヴル美術館に滞在することができとても充実した1日でした。

 

研修9日目(2023/2/14)

Bonjour ! 文科三類18組の杉浦麻緒です。2月14日のブログを担当させていただきます。

今日のメインイベントは、Grande Mosquée de Paris に行くことと、午後に行われたパリ第7大学での交流会です!

朝最初に向かったのは、ホテルの近くのスーパーマーケットfranprix。交流会でフランスの大学生と一緒に食べるお菓子や飲み物を調達しに行きました。入り口の近くに長いフランスパンが何本も立てかけて陳列されているという、フランスならではの光景を見ることもできました!美味しそうなクッキーを見つけて早速レジへ。早くもフランスに来てから1週間が経過しており、フランス語での買い物にも少し慣れてきたかもしれません。

昼食は、Grande Mosquée de Paris 内のレストランでモロッコ料理のクスクスをいただきました。店内もモスクの外見と同じターコイズブルーで装飾されており、素敵でした。
日本ではクスクスというとあの細かいパスタのようなもののことを思い浮かべることが多いですが、ドリブル先生が、クスクスは本当は料理のことを指し、あのパスタのようなものは semoule というのだと教えてくださりました。本格的なモロッコ料理を食べたことがなかった私は、最初はメニューの言葉が全くわからなくて困惑していましたが、食べてみるとどの料理も本当に美味しく、またパリに来る機会があったらぜひリピートしたいと思いました。

その後は Grande Mosquée de Paris の施設内を見学。拝観料のようなものを支払うのですが、ここではクレジットカードが使えず、私にとっては初めての、ユーロを現金で使う機会となりました。モスクではターコイズブルーと幾何学模様で飾られた床や壁、また、オアシスのような雰囲気を醸し出す庭が印象的でした。

 

空腹を満たしたら、バスでパリ第7大学へ向かいました。

交流会はパリ第七大学で日本語を勉強している学生の方々によるプレゼンテーションで始まり、次に東大側のプレゼンテーション(今日は私の班の担当です!)、最後にお菓子を食べながらの懇親会という進行で進みました。パリ7側のプレゼンテーマは、フランスでの年金改革、パリ症候群、フランスでの高校教育改革、日本とフランスのマンガについてでした。特に印象に残ったパリ症候群についてのプレゼンでは、日本人観光客がパリを訪れたときに、思い描いていた理想の姿と異なることから精神的に鬱状態に陥ってしまうことが多いということと、このような症状にパリ症候群という名前がついていることを初めて知り、とても興味深く思いました。フランスの教育制度についてのプレゼンも印象的でした。フランスでも、大学入学の選抜の方式によって高校での学習が影響されていると考えられているということや、制度によって異なる問題点が指摘され、何か一番良いのか模索されているということを知り、日本での状況と類似していると思い親近感を持ちました。

私たちのグループのプレゼンテーマは、日本におけるSDGsについてで、特に、水質や再生可能エネルギーについて発表しました。フランス語でプレゼンをすることも、長文の原稿をフランス語で書くことも私にとっては初めての経験で、フランス渡航1週間前くらいにプレゼンの概要を知った時には、自分にできるのかと正直とても不安でした。パリに来てからも作業や練習を続け、グループで話し合ったりドリブル先生からアドバイスを受けたりして、これでプレゼンができるというところまで持っていくことができました。本番は、パリ第7大学の方たちが真剣に発表を聞いてくださっていたのが嬉しかったです。一緒にプレゼンをした二人が、どうすればプレゼンの導入部で聞き手に関心を持ってもらえるかを考えて、フランス語でそれを実践していたり、フランス語での質問にフランス語ですらすらと答えていたりしたのには、大変大きな刺激を受けました。私個人としては、上手く行った点と、悔しさの残る点がありましたが、もっとフランス語を勉強したいという意欲が強まったのが一番の収穫でした。

その後の交流会では、朝買ったお菓子を食べながら、パリ第7大学の方々と雑談しました。日本に興味を持ってくださっているフランスの学生が多くいることに驚き、嬉しく思いました。お互いになぜフランス語や日本語を勉強しようと思ったかを説明したり、フランスの学生が日本に行った時に驚いたこと、私たちがフランスに来て驚いたことを伝えたりしました。日本に興味を持ったきっかけとして、漫画やアニメを挙げていた方が多かったのが印象的でした。

交流会の後は、FIAPに戻り、夕食を食べ、就寝しました。研修に慣れてきたものの、毎日が新しい発見に溢れている、そんな充実した一日だったように感じます。研修も残り日数がわずかとなってきましたが、1日1日を大切に多くのことを学んで、楽しみたいです!

 

研修10日目(2023/2/15)

Bonjour!

文科三類の秋場千慧です。研修9日目、2月15日の記録をお送りいたします。

今日は朝一番にパリのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Paris)を訪れました。ノートルダム大聖堂は2019年に火災に見舞われて以降、2023年現在も修復作業が続いています。私たちが訪れたときは聖堂の周囲は工事用の壁で囲われており中に入ることができなかったため、外から外観を眺めて写真を撮るなどしました。正面から見ると美しく荘厳な聖堂が壁の中から姿を現していましたが、少し横の方へ周ると裏側は工事用の覆いで包まれており、火災の激しさを物語るようでした。この聖堂が炎に包まれたときのフランスの方たちの心境を思うと非常に心が傷むのと同時に、歴史の一部を目撃しているという感慨が湧きました。

続いて、私たちはサン=ルイ島(=Île Saint Louis)を訪れました。サン=ルイ島は、セーヌ川の中州の一つであり、小さな島のようになっている地区です。パリ発祥の地といわれ、賑やかなエッフェル塔周辺とはうってかわり閑静でこぢんまりとした雰囲気が魅力的でした。

今日のお昼は、おしゃれなレストラン街の一角にあるRestaurant les 5でした。私が注文したのはベジタリアンラザニア。ベジタリアンメニューをしばしば見かけるのがヨーロッパらしいですね!とてもおいしくてデザートも注文したい気分でしたが、午後に発表を控えている緊張でとても喉を通りませんでした…。

今日の午後はパリの高等師範学校、ENS(Ecole Normale Supérieure)での発表がありました。私を含む4人のTLPメンバーは、江戸末期から明治初頭の日本における外国人美術商の活動に関するプレゼンを行いました。このシンポジウムは ENS との共同研究の形をとるもので、私たち TLP の学生は当時の電話帳から美術商の活動の軌跡をたどることで日本における彼らの活動に関する情報を ENS に提供する役割を担いました。発表はとても緊張しましたが、拙いながらも研究や準備の成果を発揮することができたと思います。さらに、発表後には ENS の学生や教授からたくさんの質問や感想をいただき、とても良い雰囲気で締めくくることができました。

今日の夜は fiap で夕食をとる前に、同室の女子4人で宿の近くのチョコレート屋さんに行きました!試食をしながらお土産を吟味し、みんなでマカロンを買って帰りました。これがフランス滞在中最も充実したお買い物だったかもしれません。夕食後には fiap の部屋で買ってきたマカロンを食べつつ、残りわずかとなったフランス滞在を惜しみながら夜を過ごしました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

研修11日目(2023/2/16)

こんにちは、2月16日のブログを担当することになりました理科一類の平田泰之です。

今日で、フランス10日目、パリ6日目となり、ついに明日帰国です…

あっという間の時間でしたね。

 

今日は珍しく午前に予定がないため、希望者はパリを見渡せるモンパルナスタワーに行くことが出来ました。

ただ、僕はこれには参加していないです…

遅刻で度々皆に迷惑をかけた僕ですが、寝坊をして参加できなかったわけではありません!! 他に行きたいところがあったんです(ブログ的には少し申し訳ないですね)。

ただその前に、まずは朝ごはん。今朝もホテルの朝食で、パンをたくさんとってしまいました。また太りましたね。帰国して体重計に乗るのが恐いのは僕だけでしょうか。

この後、中学時代パリに住んでいたというこの研修の参加者と、彼の暮らしていた16区に行きました。

近くに経済協力開発機構(仏語略:OCDE)なども見かけましたが、ハプニングはここからこの彼が当時通っていたサッカーグラウンドの写真を撮ったところ、警備の人に止められてしまいました。どうもグラウンドの横にある大きな建物を写してしまったのが問題だったみたい。この建物、実はロシア大使館だったんです。言われてみれば、周りには防弾チョッキを着た警備の人ばかり。

モンパルナスタワーには行きませんでしたが、なかなか面白い経験ができました。

その後ホテルに戻り、全体の集合に遅れることなく、皆で出発。École Vétérinaire de Maisons-Alfort 駅で降り、まずは Gentiane でお昼ご飯。美味しい! おしゃれ! と騒いでいたのは僕だけではありませんでした。僕が食べたのは、Cuisse de poulet marinée au lait ribot, pommes grenailles, sauce suprême, champignons. チキンとジャガイモの組み合わせはどこでも食べられますが、このフランス伝統のソース・シュプリームには研修中何度もお世話になりました。ご馳走様でした!!

でもこの食事中楽しかったのは美味しい料理だけではありません。

途中から寺田先生が到着し合流しました。長旅お疲れ様です。

皆で食事を楽しんだ後は、ついに今日一番のイベントへ。

ANSES(国立食品、環境、労働衛生、安全庁)まで皆で歩きました。最初は ANSES 職員の発表を聞き、質疑応答後、ついに僕の班の発表です。でも実はこれ2度目。リオンでも行った、日本国内のSDGsへの取り組みについての発表を無事こなしました。

ちなみに途中で割り箸の説明をするのに行った実演、大盛況でした。 班員のみな、ありがとう!!

これで研修の発表は全員終了です。スッキリした皆で ANSES を後にし、オルセー美術館に向かったのですが、なんと、ストライキで閉館。残念ではありますが、フランスらしくて良いですね。ということで今晩は予定がもうありません。オルセーからの徒歩圏内で研修参加者の行きたいところを回り始めました。

『のだめカンタービレ』でお馴染みのサン・ジェルマン・デ・プレ教会、マクロン大統領の卒業したパリ政治学院、世界初の百貨店ボン・マルシェ、など、どこを歩いても素敵な建物がすぐ見つかります。

日も沈み、皆お腹が空いてきた模様。ホテル側のChez Papa 13で、今回の研修の最後の晩餐をいただきました。料理はどれも美味しいのに、皆、溜まった疲れに関わらず、思い出語りばかりで食事は進みません。僕がメインに食べたのは、カモの胸肉のロースト。本当に美味しかったです。でも一番思い出に残ったのは、デザートのフレンチトーストでしょう。あのブリオッシュにのった生クリーム、バニラアイスとキャラメルソースは確実に僕を太らせました。

太ってばかりのフランス研修で申し訳ないですが、本当に最高な一日でした。もう明日で帰国だなんて…

お読みいただきありがとうございます。

 

研修12日目(2023/2/17)

Enchanté!12 日目の分を担当させていただきます、理科三類1年の二橋亮輔です。研修もいよいよ最終日となり、若干の疲労と名残惜しさを感じつつ、パリで1週間お世話になったホテル「FIAP」を出発しました。本日はシャンゼリゼ通り、そして凱旋門に向かいます。まずメトロで Invalides 駅へ行きました。駅を降りてしばらく歩くとセーヌ川に差し掛かり、アレクサンドル3世の名を冠した鉄橋を横目に、川を渡りました。

その後、セーヌ川に沿って歩いていくと、コンコルド広場に到着しました。凱旋門を望み、反対側にはルーブル美術館、そしてセーヌ川の対岸にはフランスの国会議事堂が見えるという立地で、フランスの中枢に来てしまったような感じがしました。コンコルド広場にはエジプトから持ってこられたオベリスクが建っており、ドリブル先生がオベリスクの対称性や、なぜフランスに持ってこられたのか、そしてどのようにして広場に直立させたのかなどを、説明してくださいました。

さて、いよいよ凱旋門に向かいます。凱旋門につながるシャンゼリゼ通りには、ルイヴィトンやディオールといった有名ブランドのお店が連なっていました(マクドナルドもあったのが衝撃でした…)。ドリブル先生によると、世界中から観光客が集まるシャンゼリゼ通りに店を展開することは、そのブランドにとって1つのステータスである、とのこと。店を出す価値という意味では銀座をも凌ぐかもしれない、とおっしゃっていたのが印象的でした。

そうこうしているうちに凱旋門に到着しました。凱旋門の側面にはナポレオンが勝利した闘いの名前がすべて刻まれていました。しかし、僕には1つもピンとくるものがなく、 自分の浅学非才さを痛感する羽目にあいました。また、凱旋門の下には第一次世界大戦で戦死したフランス兵の墓がありました。

お昼はシャンゼリゼ通りからほど近い場所にあるレストランで食べました。延々と運ばれてくるフライドポテトに戦慄しつつ、フランスでの最後の食事を満喫しました。

そのあとは、お店を回って買い物をする時間でした。僕は TLP の友人二人と多くのお店を回ったのですが、集合時間が迫る中、最後はダッシュを強いられました。ここで問題が起きました。僕はこの日水を持ち合わせておらず、終始喉が渇いた状態で行動しており、さらに日頃の運動不足が相俟って、集合場所で脱水症状を起こしてしまいました。

幸い親切な TLP の仲間に助けられ、難を逃れましたが、このことは猛省しなければならないと感じました。最後はメトロでシャルルドゴール空港へ向かいました。


以上、この2月に行われた2022年度TLPフランス語春季研修の報告後半でした!

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