2017年度TLP春季フランス研修(2018年2月)@パリ・ブリュッセル(1/3)
今年度東京大学に合格された皆さん、おめでとうございます。皆さんと4月に駒場でお会いできることを、心から楽しみにしています。
さて、この2月13日から23日にかけて、TLPフランス語の1年生がパリとブリュッセルで研修を行いましたので、その報告を3回にわけてお届けします。第1回目の今回は、1日目から2日目までです。(フランス語のトライリンガルプログラム(TLP)についてはこちらをご覧ください。また過去のTLP研修報告はこちらからお読みいただけます。)
研修 1日目(2018/02/13-14午前)
こんにちは、TLPフランス語一年、理科I類の橋都みのりと申します。フランス・ベルギー研修1日目(二日目)について報告したいと思います。最初の十二時間以上は飛行機に乗っていただけなのですが…。
成田では夜9:00までには全員が事前にオンラインチェックインを済ませ、無事空港に着き、11:30に飛行機に乗りました。間も無く離陸し(東京の夜景の美しさに驚きました)、機内が暗くなったかと思いきや日本時間で1:30ごろに機内食(夜食?)が提供されました。普段は機内食を半分以上残す私ですが、機内食の美味しさに軽く感動しつつ、眠りにつきました。起きた時は日本時間で14日の10:00頃、パリでは夜中の2:00です。もう一度朝ごはん代わりの機内食を食べ、5:00近くの着陸を待ちました。
着陸して、まずパリの寒さが身にしみました。まだ夜明け前です。空港で荷物を取り、電車でホテルに向かいました。スーツケースをホテルに預けると、私たちはノートルダム大聖堂に向かいました。ノートルダムの最寄駅に着いたのが8:00過ぎ、やっと夜が明けてきた頃でしたが、大聖堂が開くのは9:00でした。私たちは、寒い中街をぶらぶらするか、カフェに入ってショコラ・ショーを飲むかの二択を迫られましたが、なぜか誰も「ショコラ・ショーが飲みたい」とは言えず、極寒の中セーヌ川周辺を歩き回りました。とは言っても、初めてのパリの古風な町並みをみて回り、水位が増しに増したセーヌ川をみたり、ドリブル先生に建物を解説してもらったり、とても充実した時間を過ごすことができました。
ノートルダム大聖堂の中では、ミサが行われていました。観光客もたくさんいましたが、大聖堂の中は森閑としており、司祭の声が荘厳な建物の中を響くのを拝聴しました。ゴシック様式の建築の重厚さを肌で感じ、ステンドグラスから差し込む光に感銘を受けました。私たちを見下ろすように配置された壮大なパイプオルガンも印象深かったです。
ノートルダム大聖堂を出た後、パリ市内を歩き、ルーブル美術館に向かいました。途中でショッピングモールに入り、ハートの風船をもらいました。この日はバレンタインでした。風船を持ちながらルーブル美術館まで歩き、中庭を観て回りました。その時、フランス人のティーネイジャーの女の人たちにフランス語で話しかけられました。よくわからずにいると、ペンと紙を渡されました。それをみたアルベリックさんは、すかさず”Non, merci”といい、彼らを追い払いました。パリの観光名所でよくあると聞いていた、署名するとお金を払わないといけないという詐欺の手口でした。注意して見回すと、意外とそこら中にいました。みなさん、気を付けてください。
その後、クレープリーでお昼ご飯を食べましたが、その話は次の方が話してくれるでしょう。À bientôt!
研修 1日目(2018/02/14午後)
理科3類1年の度會亜衣子です。研修旅行1日目午後の分を担当します。
昼食はパリのクレープ屋さん« La Crêperie Saint-Honoré »でとりました。初めてのパリでのご飯です。TLP理系の授業でお世話になっているジュリアン先生とも合流し、皆で食事しました。フランス語のメニューを見てフランス語で注文することには、その後の研修を通じて慣れていきましたが、一番初めはやはりドキドキしました。TLPの授業で練習した通りに無事注文を終えて、私はサーモンのガレットと、デザートにオレンジとチョコレートのクレープを食べました。フランスのレストランの例に漏れず一皿の量がとても多く、またとても美味しかったです。
次に、« École Nationale Vétérinaire d’Alfort »を訪れました。獣医学の研究や獣医養成のためのフランスの公的施設です。獣医の先生が、フランス語で解説しつつ、動物の手術や獣医学教育のための施設を見せて下さいました。研修の序盤だったこともあり、現地の方のフランス語を聞き取るのは大変でしたが、なんとか内容の大枠はつかめたので嬉しかったです。生徒からフランス語で質問する場面もあって、1年に渡るTLPの学習の成果を感じました。また、専門が違えばなかなか来る機会のない施設をじっくり見ることができたのは貴重な体験でした。
今日の最後に« Musée Fragonard » を訪問しました。動物のありとあらゆる標本が展示されている博物館です。21歳の獣医学生の方がフランス語でガイドして下さいましたが、自分たちとほとんど変わらない歳なのに、大変知識が豊富で、話も論理的に洗練されていて、感嘆しました。特に印象に残っている展示物は、おびただしい数の奇形の動物の標本(頭が二つあるなど)や、« Le cavalier de l’Apocalypse (黙示録の騎士) »と題された芸術的な人体標本です。
この日は、午後の施設訪問で学問的な刺激を受けて、この地での学びに対するモチベーションが一気に高まりました。しっかりと休んで、明日の活動に備えたいと思います。
研修 2日目(2012/02/15午前)
こんにちは、文科三類の倉島さらと申します。私はTLPにAセメスターから参加し始めたので、今回の研修も自ら志願しながらも、現時点の実力で参加して良いものか不安を感じつつ事前準備を経て出発の日を迎えていました。
さて、早速2日目の午前中についてお伝えしたいと思います。2月15日の朝は、私たちがパリのホテルFIAPに到着して初めて迎える朝でした。ビュッフェスタイルの朝食ではハムやチーズが提供され、特にバゲット・クロワッサンといったパン類はいつも焼きたてで、私たちの間でも大変好評でした。食べながらのおしゃべりはいつも楽しく、その日の日程や互いの朝食の内容についてなどについて毎朝話し込んでいました。いつも早くいらしていたドリブル先生を囲んでの朝食では、日本で暮らしていては知ることのできないフランスやヨーロッパの文化を知ることが出来ました。
ホテルFIAPでの朝食。シリアルやヨーグルトもあり、食べ過ぎ注意でした |
朝食を摂ったあと、私たちはホテル近くの病院に寄り道して見学後、バス停に向かいました。その日は小雨が降っていたからか、バスは東京の朝を思い出させるかのような混みようでした。まさかパリまで来てすし詰めのバスに乗ることになるとは…。ただ、ここでも日本とフランスの違いを感じることに。日本では、ドア付近に立つ人は自分でずれることのできる範囲で内側によって新しく乗る人を受け入れるものですが、その日乗ったバスでは「もっとつめて!つめて!」と声を掛け合ってスペースを作っているのを見かけたのです。気迫を感じさせる勢いに若干驚きながらも、慌ててもう一歩奥へと詰めたことでした。
大学最寄りのバス停でバスを降りると、私たちはまずスーパーへと向かいました。ジュリアン・アガエス先生と合流して、その日の昼食をそれぞれが買うためです。パリのスーパーでは、チーズやサンドイッチの種類がとても充実していて、日本との食文化の差を痛感させられました。私はサーモンのサンドイッチとブルーベリー味の飲むヨーグルトを購入。中には大きなキッシュを1ピース買っている人もいました。
スーパーを出て大学に向かうと、すぐに教室へ通されて授業が始まりました。先にパリ第七大学の学生さんたちによる日本語でのプレゼンが行われたのですが、皆さんの日本語の綺麗なこと!違法ダウンロードやミツバチの激減の持つ影響などをテーマとしたプレゼンテーションだったのですが、高度な漢熟語を駆使しながらの説明でもとても分かりやすく、彼らと同様文法も語彙も母国語全く異なる言語を学習している身として「自分も頑張らねば!」と強く思いました。
私たち東大側は、私を含めた4人で「美白」についてのプレゼンを行いました。日本で日に焼けることは忌避されることが多く、日焼け止めや美白化粧品が売れますが、対照的にフランスでは日焼けした肌こそ健康的で美しいとされて、濃い色のファンデーションやサンオイルが多く売れるそうです。今回私たちは日本で「美白」という概念が広く浸透した経緯について歴史を遡りながら発表し、フランスの美の観念と比較しました。発表の中で、私は大小さまざまなミスを犯してしまったのですが、他の班員に助けられて何とか自分の話すパートを終えました。パリ側の学生達は私たちのフランス語を熱心に聞きとってくださり、質疑応答の時間になると多くの質問がパリ側の大学から繰り出されて、班の一人がその場で文献を読み直す必要が出るほどでした。
仏日双方のプレゼンが終了した後は、同じ教室にて皆でランチタイムとなりました。午後の予定の都合で、残念ながらあまりゆっくり話すことはできなかったのですが、パリに来て初めての学生間交流であったこともあり、緊張しながらもプレゼンの感想を伝え合ったりお菓子を交換したりなど楽しい時間を過ごしました。
パリ第7大学でのプレゼンと昼食会を通じて、自分たちのフランス語が多少なりとも相手に伝わっていたことを感じて私は嬉しくなりました。日本国内でフランス語を学習していると、フランス語で実際に会話するといえば先生か、共にフランス語を習っている仲間などに相手が限られてしまいます。今回の旅では、プレゼンやその後の質疑応答をはじめとして、空港で、ホテルで、大学の学食で、その場で不特定の相手のフランス語を聞き取り、理解し、答える必要に常に迫られていました。日本では出逢えない状況に毎日直面したこの旅は、私たちの言語運用能力を向上させるだけでなく、今後のフランス語学習へ向き合う動機付けにもなってくれたように思います。
パリ第7大学にて、パリの学生さん達と |
最後になりましたが、羽田空港での集合から私たちをずっと引率してくださったアルベリック・ドリブル先生、パリにて合流してくださったジュリアン・アガエス先生と寺田寅彦先生、ブリュッセル自由大学の渡辺しずか先生、そしてパリやブリュッセルで出会った全ての人に感謝の言葉を述べさせていただいた上で、午後担当の村上さんに筆を渡したいと思います。
( ブリュッセルからパリのシャルル・ド・ゴール空港に向かうTGV車内にて 倉島 さら)
研修 2日目(2012/02/15午後)
こんにちは、理科二類の村上日奈です。2日目午後のブログを担当いたします。
この日は午前中にパリ第七大学でプレゼン&現地学生との交流、午後はANSESという機関を訪れプレゼンという行程でした。午前中については倉島さんが詳しく書いてくれると思いますが、ひとつ個人的に大きな反省点があるので、それについてまず書きたいと思います。
私はこの日の朝、移動のバスの中で体調を崩し、一時的に集団を離れて休憩させていただきました。幸い短時間で回復したものの、その時付き添ってくださった寺田先生には本当にご迷惑をおかけしましたし、同じ日の午後に私たちのグループのプレゼンが控えていたことを考えると、自己管理の甘さに情けなくなります。異国の地ではいつも以上に自己管理が大切だと実感しました。今回の研修ではフランス語だけでなく、この件をはじめとして、いくつか大事な教訓を得ることができました。
さて、ANSESについてです。ANSESとは、2010年に創設された機関で、フランス食品環境労働衛生安全庁(Agence nationale de sécurité sanitaire de l’alimentation, de l’environnement, du travail)のことです。名前が長くて未だに覚えられていません(笑)。その名の通り、衛生、環境問題について調査活動を行っている機関です。
私たちGroupe Bはここで、”Manucure, produits pour ongles et santé au Japon”(日本におけるマニキュア、爪と健康に関する商品について)というテーマでプレゼンを行いました。日本のマニキュア文化や人気のあるネイルを紹介し、さらに起こりうる健康被害、それを防ぐための商品についてお話ししたのですが、その前にANSESの方が健康被害、有害物質についてとても詳しいプレゼンをしてくださったので、専門家の方々の前で話ができるのか、とかなり嫌な汗をかきました……。とは言え、準備してきた以上のものは出せませんし、練習の際に寺田先生がおっしゃっていた、「典型的なことを当たり前にできることが大事」というお言葉を思い出し、自分の伝えたいポイントがきちんと伝わるように意識して発表しました。
また、プレゼン以外で印象に残っているのは、ANSESの方が連れていた黒い犬です。盲導犬訓練中とのことで、とても人馴れしていて、私たちのプレゼンも同じ部屋で静かに聞いてくれました。パリでは、私たちが泊まったホテルにも住みついている(?) 猫がいたりと、動物と触れ合う機会が予想以上に多かったです。今回の女子多数のメンバーの中では彼らはたちまちアイドル状態で、一緒にたくさん写真も撮りました。観光地を巡る以外にも、このようなささやかなことが良い思い出になるのだと思います。
夜はホテルで夕食です。自分が欲しいものを言うとそれをよそい、付け合せも盛ってくださるのですが、その量が本当に多いです。とっさにフランス語で遠慮できるわけもなく、最初は食べきれるのか不安になりましたが、よく歩きよく頭も使った日だったのですんなり完食しました。ホテルでのごはんは、全体的に味付けがあっさりでとてもおいしかったです。
充実した一日でした。それでは、au revoir!!
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以上、1日目および2日目の報告でした。次回第2回の公開は、3月12日を予定しています。どうぞお楽しみに!
[追記(2018/3/13):第2回を公開しました。こちらをご覧ください。]